宝塚歌劇団の演出家・上田久美子さん。
上演する組や主演に関わらず、「ウエクミ作品なら間違いない!」「ウエクミ作品は絶対観みたい!」と根強い人気を誇る方です。
知っておきたい・観ておきたい彼女のおすすめ作品をご紹介します。
月雲の皇子
2013年月組公演。
上田久美子さんのデビュー作です。
美貌の皇子と皇女が禁じられた恋に落ち、流刑の地で心中した。
そんな、古事記や日本書紀に残る一大恋愛叙事詩「衣通姫伝説」を上田先生が新たに解釈し、描いたドラマチックな作品です。
珠城りょうさんと鳳月杏さんの美しい兄弟の愛と憎しみが主軸での物語。
二人は立っていても、座っていても、踊っていても、剣を交わしていても美しいです。
バウホールでの上演が好評を博したため、東京特別公演として再演されました。
金色の砂漠
2016年花組公演。
世界観としては砂漠の真ん中のオアシスのような王国の王女と奴隷の愛と憎しみの物語です。お衣装がオリエンタルな感じで、セットと相まってとっても美しい舞台です。
王女が生まれれば男の子の奴隷を、王子には女の子奴隷をつけて育てるという設定で、主演の明日海りおさんが奴隷役ということで話題になりました。
3人の王女と3人の奴隷を中心に、登場人物たちの愛憎の念が入り交じり、激しい展開や綺麗な歌、ダンスが圧巻です。
当時トップ娘役だった花乃まりあさんが、あるダンスの場面について「(明日海さんと)内臓がくっつきそうなくらい」という表現をされていたのですが筆者もその場面の熱気と緊張感を覚えています。
BADDY-悪党は月からやって来る-
2018年月組公演。
上記2作品を観て、上田久美子作品に繊細な彫金細工のような印象を持っていた筆者が非常にいい意味で裏切られた作品です。
超クールでエレガントなヘビースモーカーの「大悪党バッディ」(珠城りょう)と、万能の女捜査官「グッディ」(愛希れいか)が、未来都市のTAKARAZUKA-CITYで繰り広げるハイテンションなショー作品です。
コミカルで楽しいショーですが、やはりそこは上田久美子さん。
根底にはは先ほどおすすめに挙げた2作品と同じように「愛憎」が渦巻いています。
上田さんの初のショー作品になりますが、初めてでこれができる上田先生に限界なし…と感じました。
上田久美子作品の魅力とは?
筆者が感じる上田久美子さんをおすすめしたい理由は大きく2つ。
まず、1つ目の良さは人間のドロドロとした部分を受け入れて書かれること。
美しく清らかな面、醜い強烈な面など人間の複雑さを善悪に分けず、丁寧に描かれる力が素晴らしいです。
女性が描くので、そのドロドロにもちゃんと品がありますし、観ていて嫌になるようなものではなくむしろ「清く正しく美しく」の宝塚歌劇作品に厚みを増しています。
そして、2つ目は、そういう熱の有る登場人物が織りなす物語に「没頭できること」です。
物語は作り物の世界ですから、台詞やキャラクターの行動にムダや無理があるとしらけてしまいます。
上田さんの厚みのある登場人物と物語には取ってつけたような説明台詞や展開もなく、観客を物語の渦のなかに叩き落としてくれる(褒め言葉)のです。
BADDY(バッディ)のようなショーでもただの軽いショーにならず、ちゃんと物語があり密度の高い作品を作られる。そんな魅力のある演出家です。
以上、『宝塚歌劇団 演出家 上田久美子作品の魅力とは?おすすめのウエクミ作品は?』という記事でした。
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